フォトレジスト
半導体の回路は、シリコンウェハーの上に光で図面を焼き付けることで作られます。この「焼き付け」を担うのが、感光性樹脂であるフォトレジストです。ウェハーに塗布したフォトレジストに、フォトマスク(回路の原版)を通して光を当てると、光が当たった部分(または当たらなかった部分)だけが化学変化を起こします。これを現像液で洗い流すことで、ウェハー表面に回路パターンが浮かび上がります。その後のエッチングやイオン注入は、このパターン通りに進められるため、フォトレジストの性能が回路の微細さや歩留まりを直接左右します。1つのチップを作る過程でこの露光・現像の工程は何十回も繰り返されるため、フォトレジストは半導体前工程において最も使用頻度の高い材料の一つです。
■国内メーカー一覧
| 企業 | 証券コード | フォトレジスト事業での特徴 |
|---|---|---|
| 東京応化工業 | 4186 | フォトレジスト世界シェア1位(約25%)。EUVレジストでも世界2位(約28%) |
| 信越化学工業 | 4063 | 業界3番手のシェア。KrF・ArF・EUVと各世代のレジストを手がける総合電子材料メーカー |
| 住友化学 | 4005 | 液浸ArFレジストで高いシェア。大阪工場にEUV向け技術棟を新設中 |
なお、かつてフォトレジスト業界で東京応化工業と並ぶ存在だったJSRは、2024年6月に産業革新投資機構(JIC)によるTOBを経て東証プライムを上場廃止しています。現在は非上場のため株式投資の対象にはなりませんが、技術的には引き続き主要プレイヤーの一角です。
EUVレジストはなぜ難しいのか
最先端の半導体では、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)を使った露光が使われています。波長が短いほど微細な回路を描けますが、EUV光は空気中でもほとんどの物質に吸収されてしまうため、露光装置内部を真空にする必要があります。さらにレジスト材料そのものにも高い要求が課されます。微細なパターンを正確に(高解像度)、輪郭をぼかさずに(低ラインエッジラフネス)、かつ少ない光量で反応するように(高感度)作らなければならず、この3つの性能はトレードオフの関係にあるため、両立させる設計が非常に難しいとされています。世界でEUVレジストを量産できる企業がごく一部に限られているのは、このためです。
まとめ
フォトレジストは地味な存在に見えますが、半導体の微細化を支える中核材料であり、国内メーカーが世界シェアの上位を占める分野の一つです。JSRの非公開化により投資対象の選択肢は一つ減りましたが、東京応化工業・信越化学工業・住友化学は、いずれもこの分野で存在感を持つ国内企業として引き続き注目に値します。

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